ゲーム理論という研究分野を聞いたことがあるだろうか?実際にノイマンという数学者がチェスをしている最中、思いついたのが始まりとされているそうだが、20世紀初頭の比較的新しい分野である。
完成とする法則は存在しない為数学的に難解であるとされているが、要約すると極めてシンプルである。
「複数の行為主体者(物でも可)が各々の目的の為に最適化を図るとどうなるかを研究する」ことに尽きる。筆者が熟知できる低俗な理論ではない為、ここでは狭義の一意、貿易にスポットをあて考察する。
先日、中国商務部が「いかなる貿易保護主義に反対する」との立場を表明した。繊維業界でも中国製品を対象とした制限措置に反対する声が高まっている。
「遅れてきている国内企業を守ることはできても、世界企業との競争力は守れない」(中国紡繊工業協会)など明確な反対意思を示している業態も多い。
世界経済が破綻の一途を辿っている中、新興国の繊維業界は軒並み輸出減少となっているが、
中国に関して言えば、堅調推移を維持しているのが実情だ。その要因の一つが先進国だけでなく新興国にまで流入している繊維商品の数々だ。コストプッシュに晒され磨かれた世界の工場は、自負するままに、中東・南米など、多方面にチャネルを増殖させている。
これに対し、新興国が中国製品に対し、輸入制限する動きが広まりつつある。
パキスタンは、中国製ポリエステル(長繊維のみ)に制限措置をとり、ブラジルでは革製品に対し、同様の措置を検討している。
一方中国海関総署は1月の貿易総額の発表と共に、状況分析を公表している。これによると、輸出増進を急務として政策を打った輸出増値税の引上げが半期で政策効果を表していると指摘している。
実際相対的に供給ラインが窄まっている状況下でありながら、一部のカテゴリーで前年実績を上回ってはいる。衣類・付属品で5,7%。 靴類が10,6%。 バッグ類が8,3%である。
しかし、商品平均単価が$100を超える対ユーロ圏の激減(-20%)により、高付加価値商品の生産ラインは瓦解している。そして、6%とはいえ対日輸出は確実に減少しているのである。
新興国へ飛び火するのは必然といえるのではないだろうか。
中低級品の生産を増やしていく前時代的な動きが水面下で加速している実態がここにある。
この状況に歯止めをかけようと保護主義を掲げた新興国と中国に「ナッシュ均衡」が当てはまるのではないかと危惧する。双方の戦略にブランディングを意識した最適化されたフィールドは用意されているのだろうか?
おりしもアパレル・商社によるOEMが過渡期を終えた今、対岸の火事と揶揄するアパレルメーカー諸兄に対し警鐘を鳴らしたい。歴史は繰り返してはいないだろうか?重商主義に溺れ、保護政策を誘引したのは、我々日系サイドの人間ではないだろうか?
中国+1へと昇華された商流は今、合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)を感じずにはいられない。

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