2009/02/28

中国ビジネス変化の兆し -チャイナ+1はネクストステージなのか?-

 アパレルパーツメーカーの中国ビジネスが岐路に立っている。
一連のコスト増で、伸張率が衰退しているところに、世界不況が直撃し、収益が一気に悪化した。
今年はさらなる市況悪化が確実視されるなかで、再編も視野に入れた新たな対応に迫られている。

 「旧正月前後の盛り上がりも例年ほどではない」(YKK 東海サーモ)など、中国の年明け以降のビジネスは厳冬を迎えている。昨年は原材料費や労務費・環境保護費などの増加で収益悪化が表面化しており、コストプッシュ(コスト低減の圧力)がメーカーの伸張率を直接的に影響を与えているといえる。 

それでも昨年前半までは、「予定通りの伸び」(ダム テンタック)で国内の鈍化に比べれば「高い水準で伸張推移している」(ナクシス)企業も少なくない。
 とはいえ昨秋のリーマンショックを境に各社の伸びは大きく減退しているのもまた事実である。日系だけでなく、世界のアパレルメーカーが生産調整(作り控え/買い控え)に入ったことに加え「コストプッシュが増大することで、中国から、南アジアへ生産シフトが進みつつある。」(YKK)とQR(クイックレスポンス)・小ロット多品種化も裾野を広げており、中国ビジネスが新たなステージに向かって加速を始めたと明言してもよいだろう。

 こうした「縮小するパイのとりあい」のなか、各関連会社は投資優先から、市場優先へ切り替えようとする動きがでている。「こうした不況はむしろ市場拡大のチャンス」(テンタック上海)と捉え、新たな方策を積極的に打ち出し推進している。「世界規模の生産、販売拠点の強み」(FVI[フロイデンベルグ・ バイリーン・インターナショナル])や「拡大した内販売拠点網の連携」(フジックス上海)を活かしながら、「サービス面の強化や他社にはできない商品開発」(YKK)「新たな柱商品の育成」(モリト 宝本商事)を進めている。

 一方でさらなる醸成を目指し、「原材料の見直しによる品質・コストバランスの最適化」(東海サーモ)「欧米企業、ローカル市場との本格的な取り組み」(ナクシス 増惣)に重点を置く、原点回帰型も多く存在する。各社は収益重視のストロングスタイルに傾注しているとも取れる反応である。構想段階から5年を迎え、パラノイア的でもあったチャイナ+1思想が新しい形で具現化しているともいえる。

チャイナ+1の実態

 日本のアパレル消費(国内流通量)数量は40~45億点と言われている。これは実に偉大な数字で、全国民一人一人が2週間に1~2回は服を買っていることになる。08年度のアパレル輸入数量は36,5億点で(前年比2%減)金額に直すと2,2兆で6%の減少となった。アパレル輸入に限れば減少するのは実に6年ぶり(02年以来)のことである。

 特筆すべきは、輸入量の90%を占める中国からの輸入が減少したことでも、ユーロ圏が20%届く減少になったことではなくチャイナ+1である東南アジア圏が、伸張鈍化している点にある。中国に次ぐ対日輸出国ベトナムに焦点を当てると、2008年度上期のEPA(経済連携協定)により日本・ASEAN内での原材料調達によるアパレル商品輸入に対し無関税の措置を取ると合意した。これにより、ベトナム単体で8億ドルのアパレル輸出が想定されており、実績では約8.2億ドル。伸張率も7%を越える。さらには輸出数でも実に24%の伸張率と、ASEAN諸国の中で群を抜いている。
 しかしながら、周辺諸国は軒並み取扱を下げており、ASEANで括ると4%のシェアでしかない。
(注:インド・タイは並行推移)

これにはASEAN諸国内外の実態経済が生易しい問題ではないことを露呈している。後日詳しくレポートするが要因として2点に集約できる。

 第一に原材料供給の流れがASEAN内ではなく東アジアからであることが挙げられる。日系の多くの企業が諸国に技術提供を行っているが水準に達する原材料供給レベルは30%に留まっており、残りを水準の高い東アジアへ依存している。従って日系企業は上記EPAによるメリットが70%享受できないのである。

第二にASEAN諸国のメーカーが関心に乏しいことである。ベトナムに限らずASEANと合意したEPAが輸入する日本サイドにしかメリットがないことに起因している。AJCEP(ASEAN-日本包括的経済連携協定)がこの矛盾を払拭する形で謳っている節もあり、発展的なEPAが望まれるところである。

2009/02/27

SPAの受発注支援 -ヤマトグループのネコレ-

 ヤマトグループのネコレ(東京 土屋啓社長)は3月から、インターネットを利用した受注・決済・配送のシステムを使用し新サービス「クロネコお使い便」の提供を始める。
新サービスは、同社が提供する買物代行を仕組みをシステム化し、SPAやセレクトショップの客注業務を支援する。従来のサービスはファッションを好む消費者に追従する形が主流であったが、これにより同ターゲットと企業を効率的に結びつけ売上を拡大するサービスだ。

 クロネコお使い便は2万8000人の会員を擁する雑誌掲載商品の買い物代行サービスの受注以降のプロセスをシステム化した。SPA・セレクトショップは、コールセンターが受注した商品の品番と該当の在庫を確認し、在庫所在をヤマト運輸に集荷指示することで、全国どこでも集荷し、会員に配送することができるようになる。
顧客企業側は店舗負担として商品の梱包、システム利用料、売上歩合料金のみになり、従来のような通販専用DCや荷役機能を持つこともなく眼に見えて負荷が軽減される。

 また、会員が常時利用できるコミュニティサイトも更新する。会員一人ひとりにマイページが用意され(但し携帯サイトのみ)会員自身の買い物履歴や注文段階などが閲覧可能になる。
ただ、1万円以上の商品、且つお使い料¥1,050がかかることもあり、醸成が待たれるところでもある。 
 これまでに大手50社から問合せがあるという。2009年9月までに、10ブランド。来年3月までに70ブランドとのソリューションを目標としている。

2009/02/24

SPA - 製造小売業 -

皆様は、SPAをご存知だろうか。
Speciality store retailer of Private label Apparelの略にして製造小売業の意。
今をときめくFR社UNIQLOもこれにあたる。

 さる20数年前に衣料品メーカーGAPが自らを定義した言葉がルーツである。
GAP社は約4年で爆発的進化、派生を遂げ日本に襲来した。
かのリーバイ・ストラウス社ですらFA提携できぬほどのプライベートブランドを確立した様は
黒船と形容するに相応しく、また周知の事実であった。

日本のアパレル業界が揺れた。
世に言う物流革命である。

この大事件以前、日本アパレル産業は
共利共栄をコンセプトとしたローリスク商売形態であったといえる。
これを問屋制という。
例えば百貨店の委託販売や卸売がこれに類似する。

ざっと説明するとこうだ。
ある繊維メーカーの戦略事例である。

生産者Aがとあるジャケットを企画するとする。
生産原価は¥7,800くらいだろう。
メーカー小売価格は¥29,800と定義。

次に、
これを販売元である問屋Bに預ける。
この際、問屋Bは¥19,800で仕入れる。

B社は販売先である店舗の元締め問屋Cへ商品を卸す。
この際、問屋Cの仕入れ値は¥24,800である。

これを百貨店Dに委託し¥29,800で販売してもらう。
この際のDの取り分は¥3,000(経費差引後)

販売が成立すると分配が起こる。
Dが手数料(Dの取り分)・必要経費(Dのリスク)を背負い
それ以外(委託者正味手取額)はCへお渡しする。

このキャッシュフローを利益のみで羅列すると
A:¥12,000
B:¥5,000
C:¥2,000
D:¥3,000

これだけ見ると判を押したような問屋業だが
実際は仕入れに手形を使用する。
そして、これからがミソ。

裏書として、売れ残った際の生産原価を分配するのである。
例えば
A:¥2,500
B:¥2,000
C:¥2,000
D:¥1,300
となる。
つまり、売れなかった際の生産者リスクも軽減されるのである。

上記はあくまで一例に過ぎないが、
このような仕組みが存在する為、ローリスクローリターンで生業とすることができる。
しかしながら、販売単価は高く、エンドユーザに負担であることもまた事実なのである。
※現在も商売リスクを分散するという意味で証券取引では活かされている、が余談。

ただ誤解しないで頂きたいのは、
大げさではなく今も尚百貨店はこの形態を色濃く残しているし、
この仕組みが形骸化しているわけではないということだ。
ワールドイトキンレナウンなどそうそうたる面々は双方の業態を併せ持ち
今だ世界で競える最先端のジャパニーズ・アパレル・ブランドを担っている。


 90年代も終わりが見えてくるころ
日本に上陸したSPAスタイルを起爆剤とした物流形態に、ある変化が起こった。
SCM(Supply Chain Management)である。
供給連鎖システムと呼ばれ、今までのような一介の親子会社が、こじんまりとメーカーを相手に
保管管理・輸送・配送を行うというビジネスモデルは一夜にして時代遅れとなった。

この時期より物流構築が急速に多角化し、IT業界や物流会社の経営スタイルすらも一新する
企業連鎖が始まったのである。
例えば3PLなどがその典型である。
SPA企業が物流機能を持たず、第三者機関の物流会社が会社内の物流部のように
一丸となり経営していく手法である。

 弱冠を脱ぎ捨てたばかりの当時の私は思った。
物流業界に未曾有の最速戦争が始まる。と。
奇しくも、
ムーアの法則で予見されたIntel社のPentium4の開発発表がなされ
夢の集積回路トランジスタ数1億個突破を宣言し、
RFID戦略・トレーサビリティ(追跡可能性)が提言された1999年の秋であった。

このブログコンセプト

皆様こんばんわ。
山崎と申します。広いこの世界で探し当てて頂いて真に光栄です。
初めに当サイトのコンセプトを定義しておきます。

本ブログ「SPA Headline - Beyond the SCM」は
ビジネス向けの知的生産を主旨とし立ち上げたものです。
稚拙だがをかし。遊びだが新鮮。感情が導き出せるビジネスチャンス。
欲望に起因するスポットインフレ。など自らが体験した事象や洞察に基づき
フィクションなく書き記すことを謳います。
当然ながら、皆様からのご指摘、叱咤、ときに中傷など真摯に受け止めていく所存であります。

なによりも、
オープンソースに拘り、皆様と作りあげることができればと思います。

何卒、ご指導ご鞭撻いただきますようよろしくお願い申し上げます。

                                                 山崎 秋津