皆様は、SPAをご存知だろうか。
Speciality store retailer of Private label Apparelの略にして製造小売業の意。
今をときめくFR社UNIQLOもこれにあたる。
さる20数年前に衣料品メーカーGAPが自らを定義した言葉がルーツである。
GAP社は約4年で爆発的進化、派生を遂げ日本に襲来した。
かのリーバイ・ストラウス社ですらFA提携できぬほどのプライベートブランドを確立した様は
黒船と形容するに相応しく、また周知の事実であった。
日本のアパレル業界が揺れた。
世に言う物流革命である。
この大事件以前、日本アパレル産業は
共利共栄をコンセプトとしたローリスク商売形態であったといえる。
これを問屋制という。
例えば百貨店の委託販売や卸売がこれに類似する。
ざっと説明するとこうだ。
ある繊維メーカーの戦略事例である。
生産者Aがとあるジャケットを企画するとする。
生産原価は¥7,800くらいだろう。
メーカー小売価格は¥29,800と定義。
↓
次に、
これを販売元である問屋Bに預ける。
この際、問屋Bは¥19,800で仕入れる。
↓
B社は販売先である店舗の元締め問屋Cへ商品を卸す。
この際、問屋Cの仕入れ値は¥24,800である。
↓
これを百貨店Dに委託し¥29,800で販売してもらう。
この際のDの取り分は¥3,000(経費差引後)
↓
販売が成立すると分配が起こる。
Dが手数料(Dの取り分)・必要経費(Dのリスク)を背負い
それ以外(委託者正味手取額)はCへお渡しする。
このキャッシュフローを利益のみで羅列すると
A:¥12,000
B:¥5,000
C:¥2,000
D:¥3,000
これだけ見ると判を押したような問屋業だが
実際は仕入れに手形を使用する。
そして、これからがミソ。
裏書として、売れ残った際の生産原価を分配するのである。
例えば
A:¥2,500
B:¥2,000
C:¥2,000
D:¥1,300
となる。
つまり、売れなかった際の生産者リスクも軽減されるのである。
上記はあくまで一例に過ぎないが、
このような仕組みが存在する為、ローリスクローリターンで生業とすることができる。
しかしながら、販売単価は高く、エンドユーザに負担であることもまた事実なのである。
※現在も商売リスクを分散するという意味で証券取引では活かされている、が余談。
ただ誤解しないで頂きたいのは、
大げさではなく今も尚百貨店はこの形態を色濃く残しているし、
この仕組みが形骸化しているわけではないということだ。
ワールド・イトキン・レナウンなどそうそうたる面々は双方の業態を併せ持ち
今だ世界で競える最先端のジャパニーズ・アパレル・ブランドを担っている。
90年代も終わりが見えてくるころ
日本に上陸したSPAスタイルを起爆剤とした物流形態に、ある変化が起こった。
SCM(Supply Chain Management)である。
供給連鎖システムと呼ばれ、今までのような一介の親子会社が、こじんまりとメーカーを相手に
保管管理・輸送・配送を行うというビジネスモデルは一夜にして時代遅れとなった。
この時期より物流構築が急速に多角化し、IT業界や物流会社の経営スタイルすらも一新する
企業連鎖が始まったのである。
例えば3PLなどがその典型である。
SPA企業が物流機能を持たず、第三者機関の物流会社が会社内の物流部のように
一丸となり経営していく手法である。
弱冠を脱ぎ捨てたばかりの当時の私は思った。
物流業界に未曾有の最速戦争が始まる。と。
奇しくも、
ムーアの法則で予見されたIntel社のPentium4の開発発表がなされ
夢の集積回路トランジスタ数1億個突破を宣言し、
RFID戦略・トレーサビリティ(追跡可能性)が提言された1999年の秋であった。

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