前述の一文である。
アパレルの商流とは因果なものであり、SPAの根幹には常にリスクが付き纏い、さもギャンブルかのように極めてハイリスクハイリターンに晒される。
これにはコマーシャライズという言葉が不変の神話・強迫観念を与えている。
例え、商品原価の100倍でも1000倍でもかけて店頭に品を並べ意思表示するという単純且つ明確な答えである。一時のブランディングの一つでもあった。
消費者を裏切る行為は淘汰されるという現代(正確には2008年度まで)の哲学でもあった。
適応機制とは商流とは無関係であり、人の欲求対応そのものであるが、哲学が存在する以上、
この理論は成立するのではないだろうか?
ここで言う「欲」の定義だが、
一重に「当該商品」が「XDAY」へと到達できること。である。
主に媒体を打ち集客を望む戦略商品を指すことが多い。
登場者は、商社、アパレルメーカー、海外工場、国内物流インフラ、国内人員インフラ
の五つである。
実は前出の5大要素がこの5者に直結している。(含有しているケースもあるが)
①商社:代償機制
②アパレルメーカー:攻撃機制
③海外工場:逃避機制
④国内物流インフラ:合理的機制
⑤国内人員:防衛機制
であることが多い。
わかりやすいのが、海外工場である。
商社との貿易において、B/Lで換金できる条件に満たす商材を保障できないケースが多々発生しているからである。通常ではあり得ない納期(リードタイム)を求められるが、見合うものではない。
日本品質のローコストオペレーションにはバランスがある。クオリティ+リードタイム+コスト
であるが、急かされてる際に、犠牲になるのは、コストではなくクオリティである。
数量面でも商品面でもクオリティを低下させることで、リードタイムを勝ち取る構図である。
これは商社による抑圧でしかなく、負担以外の何者でもない。海外工場自身が望むべくもないのである。
従って2つの意味を持つ逃避機制へと回帰する。
1)抑制・退行による工場体力の減下
> 生産バランスを維持しなくなる。手を抜く。
2)クオリティ維持は商社次第になる。
> 工場のアイデンティティが商社任せになる。自己が持つQCなどの修復能力が欠落する。
まさに反動形成が悪循環となっているのである。
次に、トリガーであるアパレルメーカー。
欲そのものでありながら、機制への対象となりえるのは、欠落事項が精査できずに事を迎える事が頻発しているからに他ならない。
例えば、ある商社へOEMしたニットが納品遅れのなったケースである。
担当者へつめよるメーカー。工場が稼動限界を超えている実情を話す商社。
納期前倒しを告げられた際に遅れることを伝達してくれというメーカー。
商社は譲歩折衷案を出し、納期短縮対応に努める。
しかしながら、肝心の依頼変更事項や工場キャパ、ブランディングにおける折衷案が欠落していることが多い。この際、物流選定に国内インフラが関わっていないこともポイントである。納期設定において風下がリードタイム内に入ることは稀である。たかが1日されど1日と言われる所以である。
従って、攻撃機制が当てはまる。
1)目的意識の植え替え
>当該事象において原因分析・対策を打っている時間がなく、プライオリティが変化していることを周知させ、まずは達成するためにはいかなる手段も講ずる姿勢になる。
2)転嫁・行動によって動員力を増す。
>シビリアンコントロールにも似た動員理由を明確に掲げ、物事の転嫁により、排他的になる。
実際、怒鳴ったり恫喝したりなどという陳腐な手法も存在するが、目的意識が統一されているところは興味深い。攻撃的と見られる節に起因している要素でもあり、アパレルの原動力とも言えなくもないが。
さて、国内物流インフラ・人員インフラ・商社である。
商社系であれば、この3セクションが同時に且つ直接影響しているケースが目立つ。
さらには、生々しさが一層増しているのも事実である。これは、エンドユーザに近づくほどに、納期猶予がなくなり、ルーティンビジネスではなくなっていることに起因している。
そして、国内物流では無慈悲とも思えるリアリスト(現実主義者)が殿に構えていることが多いのも特徴である。これを合理的機制と定義する。
国内物流は海外・FWDなどに比べ、手法が少なく、打つ手が限られている。特に庫内作業(タグ付けや検針作業・ホルマリン対応、店舗配分作業など)は作業生産性に限界があり、コストではなく、荷姿や数量、曜日に左右される傾向がある。また、配送業者も専任社が手配されるケースは稀であり、配送スケジュールが遵守されている。※
※80キロ規制や昨年のオイルショック、法改正により、運送業者が自然淘汰され、直流を得意とするシマムラでも波動に即応することは困難であり、佐川急便やクロネコ、百貨店向けのMOVING・浪速運送など、アパレルで実績を持つ業者でも路線スケジュールを守る傾向が強い。
そのなかでも枠に囚われない仕組みで稼動している物流業者も少なからず存在している。彼らは当日入出荷を常としており、分刻みで業務をコーディネートしている。さらに着荷に対してもシビアで、ルートの動きまでもシェアする。トレーサビリティを地で言っているのである。これこそが強い欲求に対し、合理的機制による回避策なのである。
国内物流とは、当たり前のように当たり前でないものをコーディネートしていくもの。つまりは評価は加算方式ではなく減産方式であり、トラブルが起きないことが評価であり、それ以外は全てクレームという環境が常なのである。
しかしながら、この業態には闇の部分も秘めている。先日グッドウィルやフルキャストが新法により、処分を受けたことは周知の事実であるが、SPAビジネスには瞬間波動が常態であり、週に2・3日ひどい場合1日稼動のみというケースも多々見られる。
ワンコールワーカー(日雇い派遣)という概念である。筆者も経験しているが、個人と企業は極めてアンフェアな土俵でもある。だが、実際にはこれら、週2~3日の稼動をニーズとした人員を集中的に集めることで成り立つことが通過倉庫、しいてはSPA業態倉庫の実態でもある。
季節要因が強いこの業界では、社員や季節アルバイトだけでは網羅できない細密なオペレーションを動員数を持って払拭する人海戦略をベターとする企業が、同一ニーズを持つ派遣会社や派遣人材を渇望し、取り合っている。実際にこのニーズの内では人材は売り手市場である。
とはいうものの、仕事はハードな面が多く、回転率が早いのも事実である。そして、ここに防衛機制が存在する。
1)同一化:有名ブランドの出荷オペレーションを稼動していると謳う。制服や待遇に格差をつけ人員を 定着化する。
2)投射:波動が強く、継続的な雇用が見込めない際に、業態を盾に人員をカットする。
強い欲求により派生する適応機制は各社の思惑や損益を超越し、偏ったニーズを維持したまま今も尚拡大している。しかし、2年前までに通用した、瞬間作用型のビジネスモデルは陳腐化している。
懸念しているのは、
各社がSPA業態に追従する為に、海外では二匹目のどじょう探しに精を出し、国内では吸収力をもった1強多弱に丸投げになってはいないか?
ということである。

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